4.01.2013

ラテンアメリカ・バロックのかほり


haja&Chi
イタリア ヴァイオリン チェロ 作家
永石勇人 清水ちひろ


 中南米は熱いです。

 楽器製作者の友人も近年ふえ、独特の観点と感性で小生も驚かされっぱなしです。
近年イタリアにも中南米のミュージシャンも多く、クレモナでもコンサートに出会う機会が増えました。

 今回はクレモナでも知る人ぞ知るようになってきた”コーロ・ボス・ラティーナ”と”クレモナ・コンソート”のラテンアメリカ・バロックコンサートです。コンサートはサンタッボンディーオ教会でイースター際に向けての公演でした。




 ラテンアメリカは1492年にコロンブスが上陸して以来、スペイン・ポルトガルに300年間支配されたためにヨーロッパのルネッサンス・バロック文化が根強く残っています。現在、クラッシック音楽シーンでもヴィオラ・ダ・ガンバやヴァイオリン、リュートを愛する人が多くヨーロッパ各国で演奏活動や教鞭をとり活躍しているようです。クレモナにもガンバ製作者は数人いますが、みなラテンアメリカの人です。



クレモナのヴィオリスタ・ダ・ガンバのルシアナ
 さてコンサートの内容は、聞き慣れないタイトルをみて期待していたプログラムです。

●有名なドメニコ・ツィポーリ(1688-1726)のオルガンのトッカータ、、チェンバロのサラバンダ、ヴァイオリン・ ソナタ伝統的なイタリアバロック音楽。
 イタリアで生まれた彼はイエズス会の音楽家としてラテンアメリカにヨーロッパ音楽を広めた人です。

●ボリビアのそれぞれ作者不明の3曲


●メキシコのアントニオ・ロペスの”de dolor y pena”(痛みと苦しみ)


●ペルーからHANACPACHAP CUSSICUININはどこかで聴いたことのある懐かしい旋律です。この曲はミュージシャンからのレクチャーによるとラテンアメリカにおいて出版された現存する最古のポリフォニー音楽だそうです。1631年にペルーのリマでケチャ語で書かれました。


 



中央がテノーレ・指揮者のマキシミリヤーノ、右はゲストのソプラノのリナ








合唱、ガンバ、ギター、太鼓などはルネッサンス・バロック音楽の象徴
 そして最後に現代の曲、アルゼンチンの巨匠アリエル・ラミレスのミサ・クリオージャです。
力強くリズミカル、イタリアの教会コンサートでも熱が伝わってきました。
 1964年に作曲されたこの曲はヒスパニック民族音楽にキリスト教の詞を加えたもの、今回のコンサートの指揮者アルゼンチン出身のマキシミリヤーノ・バニョスさんがアンコールでもう一度歌い上げた名曲です。プログラムによると、ナチズムの時代に囚人を助けていたドイツの二人のシスターにささげたものだそうです。






クレモナタイプのガンバはほとんどチェロの形
 実はこのコンサートで使われていたガンバこそ昔同居していたメキシコ出身のカルロス・ピネーダのクレモナ風ヴィオラ・ダ・ガンバです。コンソートのヴィオリスタ・ダ・ガンバ、ルシアナが奏でていました。あまり知られていませんが旧クレモナのアマティ、ストラディヴァリなどのガンバも現存しています。
 同居していた時期にカルロスやアルゼンチンの人とバロック楽器やガンバの話でもりあがっていたのを思い出します。
 そして4本のガンバとヴィオローネでの構成でしたが、実は全ての弓は小生の友人でるマリーイヴの作でした。




 今回のコンサート、実は映像化している様なので出来上がり次第UPしたいとおもっています。この曲、小生は実に気に入っていて、他のグループですがyoutubeにありましたのではさんでおきます。ぜひ聞いてみてください。