11.15.2015

クレモナのサント・オモボノ教会

haja&Chi
イタリア ヴァイオリン チェロ 作家
永石勇人 清水ちひろ

 イタリアの各都市にはそれぞれゆかりの聖人(イタリア語で”SANTO”サント)がいます。

 有名どころはローマのサン・ピエトロとサン・パオロ、ベネツィアのサン・マルコ、ミラノのサンタンブロージョ…。
それぞれサントの日が定められ、各地でその日は休日扱いです。


こちらは普段の教会の様子。鉄格子で扉が閉ざされています。

 クレモナの聖人の名はサント・オモボノ。11月13日がオモボノの日です。この日は学校も仕事もお休みで、普段閉めているオモボノ教会が一般公開されミサが行われます。
昼のミサの模様

 オモボノは中世12世紀クレモナで盛んだった職業の一つ羊毛商人で既婚者、子供も二人生まれたそうです。仕事は順調だったらしくかなり財をなしたとか…。
彼自身は何も書き残したり言い残したりしていないのですが、その財産を当時貧しかった人や不幸のあった家庭、幼い子供の慈善事業のために使います。
その功績をたたえて死後わずか2年未満のうち、カトリック教会より一般市民として初めて列聖されました。
今ではクレモナの街だけでなく、『商人』『仕立て屋』の守護聖人としてまつられています。
12世紀には街の聖人だったオモボノさん…その後活躍したアマティやストラドなども彼のためのミサに参列したり、ご遺体に花を添えたりしたのでしょうか…。現在ご遺体はクレモナのドゥオーモ主祭壇地下に眠っています。
 私はお昼のミサの時間にオモボノ教会に行ったのですが信者さんが老若男女来ていました。普段はお隣のサンタゴスティーノ教会でミサの手伝いをしているおじいさん&聖歌隊、高校生はクリスマスくじの販売のお手伝い、奥様達は持ち寄りの品でバザー開催と地元の人の和でオモボノの日を大切に過ごしているのが伝わります。
主祭壇。ミサ後は聖歌隊やミサの手伝いをした人達に挨拶をする信者さんたち。
教会脇の小さな回廊ではシニョーラ達によるバザーが開催されます

教会自体は小ぶりですが、ファサード前に広がる石畳はとても可愛らしいです。元々は聖人アエギディウスをまつった教会でした。起源は7世紀とのことですからかなり土台は古い教会です。数年前に外壁の修復作業が行われ外観はきれいになったのですが内部のフレスコ画は痛みも目立ち、天井にひびもたくさん入っています。
天井のフレスコ画。

 はやく内部も修復されますように…と願いつつ回ってきたお賽銭袋にほんの気持ち入れました。




清水ちひろ