12.18.2015

黒いヴァイオリン その3

haja&Chi
イタリア ヴァイオリン チェロ 作家
永石勇人 清水ちひろ


 黒檀で作った黒いヴァイオリンの製作です。

 1677年のストラディヴァリ”sunrise”よりストラド初期の細身のモデルです。あまりにも有名ですの説明もいらないですね。
 反してこれは真っ黒にて、さしずめ”sun set”とでも呼べましょうか。

 オリジナルの横板とヘッドの装飾は溝にstuccoと呼ばれるパテが埋めてありまして、最近の研究にて黒く染めた木の粉をのりと一緒にまぜたものを使っていたことがわかっています。表板と裏板の白い部分は象牙又は骨です。

 
 さて、今回は黒檀に生えるラインという事であれこれ考えた結果、アルミニウムの粉を使用する事にいたしました。銀は酸化して黒くなってしまうので残念ながら使えません。

 材料となる黒檀は一つの大きな板を探し出してきまして、全てのパーツを同じ木からとれるようにしました。いまでもヴァイオリンもう1本分がとってあります。



fingerboard以外は全て同じ縞黒檀
マダガスカルの材です



さて、デザインの準備。
もちろんコピペではなく、描き直して整えます。




トレース用に切り抜かれる
ストラド工房でも紙上のドットによる写しでほぼ方法は一緒



横板は、杢がないために普通の楓と同じ厚みで曲げる事ができました。



黒檀の板の厚み出し。。一枚終わるとカンナを研ぎ直し。


永石勇人