12.25.2016

クアルテット アマティ

 クアルテット・アマティが完成しました。
アメリカで催されるVSAのコンクールにて銀賞をいただきました。

 このコンクールは世界でイタリアのトリエンナーレより規模の大きい唯一のコンクールです。国際コンクールでしかも楽器の自由度が高く、いかにもアメリカらしいコンクールと言えるでしょう。いま、最も注目される作家やメーカーなどが集まりました。

 さて、ストラド・クアルテットに続いてアマティモデルでの制作。
隆起と厚みはストラドに近づけてありニコロアマティ特有のハイアーチに返りのおおきな隆起にはあえてしませんでした。もちろん、今プレーヤーに弾いてもらうためです。






ファースト・ヴァイオリン:

 17世紀にクレモナで主流だったbox350mmぐらいのパターン。いわゆるショート・アマティです。グァルネリなどもほぼこのパターンで作っているので実はストラドよりも理想的なヴァイオリンなのかもしれません。





 裏板は一枚板にしました。クアルテットの醍醐味の同じ木からとるコンセプトでチェロもとれるように巨木を使うのでヴァイオリンの裏板は簡単にとれます。






9.04.2016

Stradivari Quartetto No.3

Cello

続いてチェロ。B。

 王道のストラディヴァリチェロは作っていても迷いの少ない作品です。



 ストラディヴァリは慣れた形で、毎回といっていいほど厚みの分布にもトリックがしてあります。
実験をしています。

 今回は川にかかるブリッジのストラクチャーを思い浮かべて、表板に駒を中心にXの字に強度をつけました。イメージとしては表板の上下に振動板が二つある感じでもあります。
もちろん、X字で分割された右と左のスペースにはf字が来るので必然的にこの部分は厚めに残します。。

 結果的には重めで、スティフネスの低めの木でしたのでクセのある表板となりました。
湿度の高い地域用にあまり薄くせずに残しもしました。



 小生は新しく作る楽器の作りは凛としているのが理想だと思っています。アマティやストラディヴァリにはその時代では最高の精度で製作しており、一つのフィロソフィーのもとに作られているのがみてとれます。今日評価が高いのもそのためではないでしょうか。
 今の楽器作りがそれを捨ててしまってはあまりにももったいないような気がします。



8.20.2016

ストラディヴァリ クアルテット その2

セカンド ヴァイオリン

 ストラディヴァリのGパターンより型をおこしました。

”P”はPrimo(第一)の意味で、この”G”はGrande(大きい)を意味しています。
ストラディヴァリのオリジナルの型の上に書いてあります。

 この型よりストラディヴァリはボディの長さ357mm~358mmを意図した大きい楽器を製作しています。アマティの時代より330mm〜350mmが主流だったヴァイオリンより大きいのでこの名前が付けられたものと思います。
 Gより生まれたヴァイオリンは有名な楽器がおおいです。





 ファーストに比べて、セカンドはバスバーを0.5mmほど内側に入れてあります。少し音をぼやかそうというのが意図です。
楽器自体が若干大きいのでエフまわりバランスもとりにくいものとなりました。
今回は隆起の高さは標準にしたもののエフの部分をかなりフラットに作ってみました。
写真では残念ながら見えません・・




裏板の厚みはアマティパターンの縦型です。

ちなみにデータとしてはバスバー込みで表板;
#1 80Hz
#2 156Hz
#5 346Hz
重さはバスバーなしで60,95gです。
10年ぐらい前にアメリカで流行っていたパターンで薄めです。










8.16.2016

Stradivarius Quartetto(two violins, a viola and the cello)


 ハイドンに始まる音楽の形式、弦楽四重奏。
これにちなんでヴァイオリン属にも四重奏なる物が存在します。

 この度、四重奏を製作する機会を頂きましてストラディヴァリ・クアルテットにいたしました。知名度が高く王道であり基本でるストラディヴァリがゆえに、最も難しく手の抜けないモデルになります。

普通はヴァイオリン2本にヴィオラ1、チェロ1になります。

 材料となるスプルース、メープルは基本、同じ木からとるのが通例で、4本いっしょに作業を進めて行きます。ニスもおなじ物を同じ時期に塗るのがポイントでカラーや雰囲気がにてきます。

 音には特にその特徴がききとれます。
今回も隆起の形状や厚みの分布などヴァイオリン2本は同じにし、ヴィオラはチェロよりに調整。チェロは柔らかめの音にしました。
 4本の音が綺麗に揃うのがいいという簡単な答えではありません。
それぞれの個性が活きて、お互いに競合していくのがいいのかなと思います。
 4本一緒に成長し続けたらこれは大変嬉しい事です。
大事に使って頂きたいです。

 2016年に製作完了し納品いたしました。数年後四重奏で聴ける機会があればその成長もみれるのでしょう。楽しみです。

 ファースト・ヴァイオリン

ストラディヴァリのPパターンです。
若干細身のストラディヴァリ黄金期にも生産されていた形です。






 ヘッドの黒ぶちはストラディヴァリ、グァルネリ、ベルゴンツィ、グァダニーニに見られるキャラクターで当時流行っていた装飾です。
柔らかい雰囲気のアマティ系の楽器から変化を経て、当時指板も黒檀ばり、ペグも黒く塗られるものも見られるようになります。楽器全体のカラーが赤や茶色+黒になっていきます。






 裏板のメープルはスロベニア材です。
杢が強いのですが、重くなく扱いやすい材料でした。






7.17.2016

古川展生さん クレモナで演奏

 先月、東京都交響楽団の主席チェロ奏者の古川展生さんがクレモナにてコンサートを行いました。




 昼過ぎにクレモナに到着した古川さんはクレモナのメイン通りガリヴァルディ通りにあるステファノ・コニアさんの工房でリハーサル&コンサートの準備。
夕刻、旧市街の真ん中にあるフィーロ劇場付属のサロンにてコンサートをしました。
曲目は

 お弟子さんの岡本梨紗子さんも一緒に演奏され、古川さんと一緒にブダペストより旅をされていた日本の方はもちろん、クレモナのお客さんもとても喜んでいました。私はクレモナのご老人達の近くで聴いていたのですが、おじいちゃんたちにはバッハはもちろんですが、やはりデュオのボッケリーニがとても気に入った様子でした。そして初めて聴いたであろうドッツァウアーのその技巧には驚かされました。





 コンサート後は皆さん仲良く夕食会。食後、岡本さんが会場管理人さん、コニアさんにそれぞれイタリア語で感謝の気持ちを伝えると皆さん大変喜ばれとても和やかなムードで閉会となりました。




 翌日、地元の新聞にも掲載されクレモナ人の喜びようが伝わりました。

 短いクレモナ滞在でしたが、古川さんを通じてたくさんの方にお会いして演奏もお話もきけてとても有意義な時間を過ごしました。
 
 観光客はもちろんですが海外よりミュージシャンの方がまた来てくれると嬉しいなぁ♪と感じています。

ちひろ

4.13.2016

ヴァイオリンの違うみかた


 先日クレモナに在住の写真家yumaさんに楽器の写真をとってもらいました。



"il violino nero" photograph Yuma Murata



出来るだけ自由に、作品づくりに活用してくださいなと”黒いヴァイオリン”をお渡ししました。
 条件は、”148x148mmの正方形2枚”のみです。


小生はすでにフツーにヴァイオリンはみられないはずです。
 
 毎日ヴァイオリンを削っているので、視点がミクロになってしまいます。
 渦巻きの美しさ、パーフリングがこうとかニスの微妙な色など、、駒をたたいただけで音が変わって、弦をゆるめ張り直すとまた音がかわる微妙な差に気をとられがちです。


 オブジェとして、客観的に自分の楽器を見たいとおもって依頼をしました。
 yumaさんの作品のコンセプトは抽象を写真で表現したいとの事。

 小生の黒檀ヴァイオリンを生のマテリアルとして引き出してくれたのではないでしょうか。
 こちらの写真は2016~のミニカタログにはいります。手に取る事があればご覧下さい。




意見の出し合い中

hajato nagiashi

 

 

3.28.2016

続々々々・クレモナからトレントに〜住み込みヴァイオリン制作〜

2016年

トレントにて製作したヴァイオリンの完成です。


小生はミラノで数本ヴァイオリンを仕上げていますが、トレントにて製作したのはこの作品のみです。



ストラディヴァリ・パターンの一枚板 


 隆起から、厚みにいたるまですべてルカのコンセプトのもと作られました。もちろんニスもそれ以上に仕上げています。
 希望があったのでプリモンの楽器にはない黒の縁取りがほどこされてあります。







 クレモナの楽器とはディティールで音も造りも一味違っています。
 これからどのように弾かれて成長するかが楽しみです。

永石勇人


 

3.27.2016

ふたりのマエストロ 



ふたりのマエストロ I Due Maestri

 2016年5月18日に銀座ヤマハ・ホールにて、日本を代表するチェリスト宮田大さんと一緒にレクチャーコンサートを行います。


”ふたりのマエストロ”のフライヤー


出演
永石勇人 liutaio
宮田大 cellisto
森田啓佑 cellisto
鳥羽亜矢子 pianista

宮田さん、森田さんがそれぞれ永石作の2本のチェロを使用します。

使い手である奏者と作り手の作家によるコラボレーション企画です。
それぞれの道を極める『ふたりのマエストロ』…。
チケット一般発売は週明け3月30日水曜日からです。

皆様お誘い合わせの上 ぜひこの機会にお買い求めください。

チケット購入はダイレクトにメール
cellaiohaja@gmail.com
もしくは公式サイトよりチケット・サービスをご利用ください。


1.14.2016

ジーザス・クライスト・スーパースター



クレモナにまさかのジーザスです。
 
ちょっとシブいジーザス



 数年前のキャッツに引き続き今年の冬はジーザスでした。
もしかしたらイタ語できけると楽しみにていましたが、Englishでした。
 生バンドが中央の回転台で弾き続け、ハデな照明と狭い分だけ立体的にした舞台。電光ボードを駆使した演出。メインのアーティストはイタリア人に。アクターもイタリア系が多かったように感じました。


メインテーマはもちろん70年代コスチュームで



 イタリアほどマリア様+キリスト様の肖像をみかける国もないと思いますが、舞台にキリストが登場した時のあの興奮のしようはもの凄い。キリストがでるたびにしつこいぐらいの拍手喝采。
まさに♪Hosanna Hey sanna, sanna, sanna, Ho
 
 そしてまたオペラ劇場でミージカルとは何ともおつなもの。やれば何でもできるテアトロ・ポンキエッリ。


ヘロデ王 色気のある役者さん。表現力が旺盛。


 そしてお客のノリが良いのにビックリです。あのクレモナおじさまとおばさまがまさか一緒に歌うとは・・さすがロイド・ウェッバー。
Jesus Christ
Jesus Christ
Who are you? What have you sacrificed?


という事にて、久々のジーザスでした。



勇人